スポーツの瞬発力を上げたいなら、瞬発力を鍛える「筋トレ」をしても無意味です

2016年3月16日

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どうも、力はあるけどスピードはない。

典型的なパワータイプこと脳筋です。

 

スポーツマンなら1度は「瞬発力(スピード)を上げたい!」と考えたことがあるでしょう。

サッカー、野球、テニス、バスケ、卓球、ボクシング、短距離走などなど・・・

ほとんどのスポーツで瞬発力は必須ですからね。

(必要ないのは長距離走くらいしか思いつかん)

 

しかし、「瞬発力の鍛え方」でネットで検索しても、「筋トレでの瞬発力の鍛え方」がほとんど。

これをスポーツの瞬発力とかん違いする人も多いのが現状です。

 

もちろん、これも「瞬発力を鍛える方法」ではあるんですが、

  • スポーツなど、一般的に言われる 瞬発力
  • 筋トレなど、筋肉で言われる 瞬発力

では大きな違いがあります。

と言うかほぼ別物です。

 

今回はこの2つの意味、違いを解説しつつ、それぞれの瞬発力の鍛え方を説明します。

筋肉の瞬発力=筋力

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筋トレ(筋肉)で言う瞬発力は「短い時間に発揮できる力」のことで、単純な「筋力」を指しています。

 

そもそも筋肉には

  • 白筋(速筋、タイプⅡB)
  • 赤筋(遅筋、タイプⅠ)
  • 中間筋(↑2つの中間、タイプⅡA)

の3種類があり、それぞれ

  • 白筋=持久力は無いが、瞬間的な力は強い
  • 赤筋=瞬間的な力は弱いが、長時間、力を出し続けられる
  • 中間筋=瞬発力、持久力のどちらもある程度両立している

という特性があります。

ようは「筋トレでの瞬発力を鍛える!」は、この白筋を鍛えることを指しているんですね。

 

一般的には 瞬発力 と言うより 筋力 と言うことの方が多いでしょうが、運動生理学やスポーツ化学では瞬発力と表現します。

このへんの日本語もややこしくしている原因でしょうねぇ…

 

瞬発力を鍛える筋トレ=白筋を鍛える筋トレ

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こういった「筋トレでの瞬発力の鍛え方」=筋肉の瞬発力の鍛え方は、

1RM(1回が限界の重量)の80~90%前後の重量を限界まで(1~2回)を3~5セットほどやるのが一般的です。

このときセット間の休憩を長め(2分前後)にとり、毎セット筋肉を回復させながら行って下さい。

 

少ない回数でいいので、筋肉が出せる最大の筋力を出す

休憩が長いのも、疲労がたまって最大の筋力が出せないなら、出せるようになるまで休憩させるためです。

これが「筋肉の瞬発力=筋力」の鍛え方の基本となります。

 

この時点で「これでスポーツで言う瞬発力=スピードがつくか?」と言われると、なんとなく疑問ですよね。

 

【補足】白筋を鍛える≠白筋の筋肥大

※瞬発力の筋トレの補足なんで、この項は飛ばしても大丈夫です。

上記のような筋力=瞬発力をつかさどるのは白筋なので、「瞬発力を鍛える」とは「白筋を鍛える」ことになります。

ここで注意点ですが、同じ白筋を鍛えるのでも「筋力」と「筋肥大」ではトレーニング法が異なります。

 

一般的に筋トレと言えば筋肥大が目的のウェイトトレーニングで、このウェイトでもトレーニングするのは白筋です。

このときは10回程度が限界の重量で3~4セット。

セット間の休憩は短めに行うのが基本となり、よく言われる「10回3セット」式のやりかたになります。

 

これは筋繊維にダメージを与えたり、疲労物質によるストレスを与えることで、筋肉を修復させる=その過程で大きくするための方法です。

鍛えるのは同じ白筋だからといって、トレーニング内容は全然違うので注意してください。

 

スポーツ(一般的)で言う瞬発力=神経の伝達速度

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スポーツマンの言う瞬発力は、上記の筋肉の瞬発力とは大きく異なります。

最初に結論だけ言っておくと、「神経の正確で素早い伝達」がスポーツなどの運動での瞬発力です。

 

多分ですが、多くの人がイメージする瞬発力って

  • 素早い反復横跳び
  • 短距離走などでのスタートダッシュやトップスピード
  • サッカーやバスケのステップ・切り替えし
  • テニスや卓球での素早い反応・サーブ
  • ボクシングでの素早いパンチ

この辺りだと思います。

 

これらの大きな要因は、はっきり言って「筋力」ではないです

もちろん筋力も重要ですが、それ以上に大事なのがさっきも言った「神経の伝達(インパルス)」です。

 

筋肉が動くのは、脳からの命令が神経をとおって筋肉に伝わったときです。

当然ですが、このときの時間が短ければ短いほど、筋肉は速く動けます。

神経から命令が届くのに

  • 2秒かかる
  • 1秒かかる

では、後者の方が1秒分速く動けますよね?

(実際にはこんなに時間はかかりませんが理屈は一緒です)

 

上記のスタートダッシュを例にすると、

  1. スタートの合図をキャッチ
  2. 脳から足の筋肉などに命令
  3. 命令が届いて動き出す

この間の時間が短いほど動きだしが速くなります。

 

また反復横跳びの場合、

  1. 右に飛ぶ
  2. 次は左に飛ぶよう脳から命令
  3. 左に飛ぶための筋肉が働く

のように、連続した動作でも同じことです。

 

もちろん、体の動きは筋力あってですが、動きの素早さ、反応の速さ(=一般的な意味の瞬発力)となると、1番大きな要因は「神経」にあります

そういう意味で、上記で説明してきたような「筋肉の瞬発力」を鍛える筋トレは、スポーツの瞬発力をつけるのには無意味なのです。

 

  • 筋肉の瞬発力=パワー
  • スポーツで言う瞬発力=スピード

と考えてもらえれば。

 

スポーツでの瞬発力の鍛え方=神経の反応速度を鍛える

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スポーツなどの運動速度の上げ方はシンプルで、早くしたい動作を全速で繰り返しやってください

  • スタートダッシュを早くしたいなら、その動作を全速で
  • ボクシングのパンチを早くしたいなら、パンチを全速で
  • テニスで素早くボールを拾えるようになりたいなら、ステップ動作を全速で

という感じです。

必ず早くしたい動作で行ってください

それ以外の動作でやっては意味がないです。

(理由は後述します)

 

神経は繰り返し使われることで発達して太くなっていきます

なんども使われた神経は太くなっていくのですが、「神経の伝達速度は太い神経ほど速い」という特徴があります。

どんどん神経を太くすることが、神経の速度を上げるトレーニングになるのです。

 

ただ、なれた刺激ではなかなか神経は発達しません

それまでと同じ刺激=発達しなくても十分伝達可能なので、発達する必要がないからです。

 

神経の伝達速度を上げたいなら、「それまでの速度では遅い」と体に思わせなければいけません

だからこその全速なのです。

極端な話、100mダッシュ7秒だった人が6.8秒で走れるようになったとします。

それ以降、7秒台で走る練習をして速くなれるか?

まず、それ以上の発達はしにくいと思います。

これと同じ理屈です。

 

筋トレの筋肥大に比べると神経の発達はイメージしにくいですが、これは誰でも経験しています。

身近なところだと「歯磨き」なんかも繰り返しているから=神経が発達した結果です。

右利きの人が左手で歯磨きをしても、非常に動作は遅く、ぎこちなくなるでしょう。

右手は動作を反復しているので神経が鍛えられていますが、左手の神経にとってはそれまでにない動きですからね。

 

その動きになれ、神経の伝達が素早く、かつ最適化されることで体の動きは素早くなります。

スポーツで言う「瞬発力」でも、原理は同じです。

 

運動のスピード≠筋力

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筋力があるほど力は強いでしょう。

しかし、「筋力があるほど動きが早くなるか?」というと答えはNOです。

 

ここをかん違いしている人は多いんですが、おそらく、あなたの運動スピードは筋力では上がりません。

(私の職場にいるような80~90代のおじいちゃん、おばあちゃんなら筋力も足りないかもしれませんが)

 

学生のころを思い出していただきたい。

体育で明らかに他より運動神経があって、動きの素早い人(=瞬発力のある人)がいたと思います。

こういった運動神経のいい人でも、筋肉ムキムキというよりは、むしろスリムな人が多かったはず。

 

ここからも分かる通り、素早い動作に必要なのは筋肉ではありません。

筋力をつけても多少は速くなるかもしれませんが、もっと重要なのが「神経」です。

 

皆さんも「無駄な筋肉をつけるとかえって遅くなる」と聞いたことがあると思います。

この「無駄な筋肉」とは「その動作で使えない筋肉」という意味で、例えば速く走りたいのに腕の筋肉をでかくしても、重くなるだけ=無駄ですよね。

仮に足の筋肉をつけても、走るときにその筋肉をうまく使えないのであれば、それは脂肪と同じ「重り」です。

 

この「筋肉をうまく使えるかどうか」を左右するのが、「神経が発達しているかどうか」なわけです。

 

【補足】スポーツでいう「瞬発力」ってそんな単純なもんじゃない

運動スピードに必要な神経の働き:筋肉の力を「抜く」

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難しいのは、神経を発達させたからといって、その筋肉を使った全ての動作が早くなるとは限らないということです。

 

例えば、上腕二頭筋の神経を鍛えたからと言って、上腕二頭筋の動作全てが速くなるわけではありません。

これはイメージしにくいかもしれませんが、何か動作をするときに重要なのは筋肉の力ですが、それと同じくらい「筋肉の力を選択的に抜く」のも重要です。

 

たとえば「走るとき」

太ももの大腿四頭筋や、お尻の大殿筋の力を使って、思い切りスタートダッシュしたとします。

もし、このときにそれぞれと拮抗する筋肉。

(大腿四頭筋は膝を伸ばす筋肉なので、その反対の膝を曲げる筋肉 など)

これらの力も適度に抜いておかないと、走るときの邪魔になります。

この力を抜くのも神経の伝達です。

 

素早く動くには「素早く筋肉を使う」のと同じくらい、「素早く関係ない筋肉の力を抜く」必要もあるわけです。

 

運動スピードに必要な神経の働き2:ほかの筋肉と「タイミングよく連携させる」

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加えて、ほかの筋肉との連携も必要になります。

この連携は筋トレで言うと「反動をつける」というやつです。

筋トレでは悪い例の代名詞である「反動」ですが、スポーツでは積極的に使うべきテクニックなわけですね。

ここだけでも、筋トレでスポーツの瞬発力が手に入りにくいのが分かるかと思います。

 

先ほどの「走る」では大腿四頭筋、大殿筋を例に出しましたが、実際の走るときに使われる筋肉はこんなもんじゃありません。

足の筋肉はもちろん、固定するための体幹も、バランスをとるための腕や首の筋肉だって使っています。

これらすべての筋肉ともタイミングよく連動できてないといけませんし、そうなるとこれらの筋肉・神経系も鍛えられている必要があります。

 

「足を速くしたい!」と思っても、足だけ鍛えてもダメなのはココが大きいです。

「速く走りたい」なら実際に走って、走るときに使う筋肉すべての筋力・神経を鍛え

その上で要らない力を抜いたり、他との連携がうまくいくよう、神経の伝達を最適化しないといけません。

 

〝スポーツでの瞬発力の鍛え方”で「その動作でないといけない」と書いたのはここが理由です。

「速く走る」・「高くジャンプする」など、目的の動作があるなら、筋力より、それに最適化した体の使い方が第一!!

サッカーの練習してバスケがうまくならないのと同じ理由なんですよ。

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終わりに

「瞬発力」の話でややこしいのは、同じ「瞬発力」でも人・考え方によって意味が全然ちがうところ。

  • 「瞬発力を上げる=筋力を上げる」でも、
  • 「瞬発力を上げる=スピードを上げる」でも、

どちらも正解なんですから、そら、ややこしくもなるってもんです。

 

とくにスポーツで言われる瞬発力ときたら、足の速さなどのスピードはもちろん、反射神経や反応速度も含んでいることがほとんど。

筋力だけで説明なんて絶対できませんし、「○○の筋肉を鍛えれば瞬発力は上がる!!」なんて言えるもんじゃありません。

 

少なくともスポーツでいう瞬発力は、

「選択的に力を入れて、余計なところからは力を抜いて、他の筋肉との連携も適切に行える。」

といった感じで、能力と調整がうま~く噛み合って生まれます。

 

とくに学生だと「筋トレすればうまくなる!」みたいな、筋トレ万能論者みたい人、結構多いと思います。

が、人の体(スポーツ科学)はそんな単純なもんじゃないので、それだけでも覚えておいてください。

 

上手くなりたいスポーツがあるなら、筋トレよりも実践練習。

もしくは、その動きの練習を積み重ねていくこと!

走り込みを何回もやらされるのにも、ちゃんと意味があるんです。

これをおろそかにして筋トレしても結果はついてきませんよ。

2016年3月16日トレーニング

Posted by 脳筋